激安真空管アンプ

激安真空管アンプを買ってみました。購入時の価格は、送料込みで2419円でした。しかし、アンプと言っても、プリアンプですので、スピーカーを鳴らすには別途パワーアンプが必要です。真空管には、独特の音があると聞きます。そんな、真空管の独特な世界を味わってみたいと思い、価格の安さも手伝って購入しました。

激安真空管アンプがやってきた

今回も懲りずにアリエクで購入しました。しかし、最近のアリエクは、TEMUを意識してか、配送が速くなりました。今回買った激安真空管アンプも、一週間程で到着しました。真空管というワレモノが入っているためでしょうか、丁寧に梱包されていました。

激安真空管アンプは丁寧に梱包されていた
激安真空管アンプは丁寧に梱包されていた

送られてきた段ボール箱を開けると、更に二つに分けられて梱包されていました。

梱包を解くと更に二つの包みに分けられていました
梱包を解くと更に二つの包みに分けられていました

二つに分けられた包みの一つはアンプ本体で、もう一方は真空管でした。

付属の真空管には上海6K4と記載されていました
付属の真空管には上海6K4と記載されていました

付属の真空管には、上海6K4と記載されていました。しかし、真空管についていた汚れを落とすと、この記載は消えてしまいました。

激安真空管アンプを組み立てる

アンプ本体部分は、組み立て済みでした。しかし、アクリルのパネルに保護フィルムが貼られたままで組み立てられていました。そのため、一度アクリルパネルを取り外し、保護フィルムを剥がして、再度組み立てました。そして、付属の真空管を取り付けたら組み立て完了です。

組み立てが終わった激安真空管アンプ
組み立てが終わった激安真空管アンプ
激安新風館アンプ背面
激安新風館アンプ背面

激安新風館アンプの背面には、電源端子と入出力のRCAコネクタがまとめられています。ちなみに電源電圧は12Vで、消費電力は4W程度です。

本体前面の中央には電源スイッチ兼ボリュームつまみ、左側にはトーン切り替えスイッチがあります
本体前面の中央には電源スイッチ兼ボリュームつまみ、左側にはトーン切り替えスイッチがあります

激安真空管アンプの前面中央には、電源スイッチを兼ねたボリュームつまみがあります。そして、左側にはトーン切り替えスイッチがあります。切り替えは三段階で、スイッチ位置左がフラットです。そして、スイッチ位置中央が低域強化、右位置は高域強化です。しかし、スイッチ位置による音質変化はそれほど大きくありません。したがって、通常は、トーン切り替えスイッチは左位置で良いでしょう。

激安真空管アンプのポップノイズに注意

オシロスコープを使って、激安真空管アンプの性能を測定してみました。しかし、その前に注意していただきたいことがあります。それは、この激安真空管アンプが強烈なポップノイズを発生させることです。

激安真空管アンプは強烈なポップノイズを発生する
激安真空管アンプは強烈なポップノイズを発生する

電源投入直後、出力端子から一瞬7Vの電圧が出力されます。その後、出力電圧が落ち着くまで、8秒を要します。したがって、このアンプの後段につなぐパワーアンプは、8秒待ってから電源を入れると良いでしょう。

性能測定:矩形波の増幅

先ずは、10Hzの矩形波を入力し、アンプ通過後の波形を観察しました。以下に示すグラフの、黄色の線は入力波形です。そして、水色の線が出力波形を示します。

10Hz矩形波
10Hz矩形波

このアンプはDCアンプではありませんので、低い周波数が苦手です。10Hzの矩形波では、大きく信号が歪んでいることが解ります。また、入力と出力の波形が反転していることが解ります。このことから、激安真空管アンプが反転増幅をしていることが解ります。

激安真空管アンプで100Hz矩形波を増幅した結果
100Hz矩形波

100Hz矩形波を増幅した結果は、10Hzより少ないものの、未だ信号に歪みが見られます。

激安真空管アンプで1kHz矩形波を増幅した結果
1kHz矩形波

1kHzまで周波数を上げると、歪みは大分小さくなりました。

20kHz矩形波
20kHz矩形波

20kHzまで周波数を上げると、波形は丸みを帯びてきます。これは、激安真空管アンプが、高い周波数を苦手としていることが解ります。しかし、可聴域である20Hz~20kHzはしっかり増幅出来ています。したがって、オーディオ信号用としては十分な性能を持っています。

性能試験:正弦波の増幅

激安真空管アンプで、正弦波の増幅を行い、その出力波形を観察しました。併せて、カットオフ周波数を探り、周波数特性を計測しました。

低域側カットオフ周波数5Hz
低域側カットオフ周波数5Hz

今回は、正弦波1kHz入力時のP-P出力電圧を2.54Vになる位置で、ボリュームを固定しました。そして、入力信号の周波数変化させ、-3dBとなる周波数を割り出しました。低域側は5Hzで出力信号が-3dBとなりました。

1kHz正弦波
1kHz正弦波

1kHz正弦波入力時の出力波形は綺麗です。ノイズも歪みも見られません。入力と出力で、信号が反転していることを除けば、全く同じ波形と言えるでしょう。

高域側の-3dBポイント100kHz
高域側の-3dBポイント100kHz

激安真空管アンプの高域側カットオフ周波数は、100kHzとなりました。もちろん、この周波数は可聴域を十分に上回っています。低域側の測定結果と併せて、このアンプの周波数特性は、5Hz~100kHz/+0dB,-3dBです。激安ではありますが、このアンプは、オーディオ用のアンプとして、十分な性能を有しています。

性能測定:リニアリティーの確認

激安真空管アンプのリニアリティーを確認するため、三角波と階段波の増幅を行い、波形を観察しました。

激安真空管アンプのリニアリティー確認:1kHz三角波
1kHz三角波
激安真空管アンプのリニアリティー確認:1kHz階段波
1kHz階段波

三角波、階段波ともに、出力波形は入力波形と相似(ただし反転している)を示しています。また、波形に歪みは見られないことから、リニアリティーは確保できています。

聴いてみた結果

今回購入した、激安真空管アンプですが、出力インピーダンスがかなり高いと思われます。後段にパワーアンプとして、以前作ったプッシュプル増幅段を接続しました。しかし、十分な音量が得られませんでした。これは、接続したプッシュプル段の入力インピーダンスが2.2kΩと、低めであったためです。入力インピーダンス33kΩのヘッドホンアンプでは、十分な音量が得られました。

今回購入した激安真空管アンプは、初めて使用する真空管アンプでした。そのため、何か特別な体験が出来るかと思っていました。しかし、そのようなことは全くありませんでした。トランジスタアンプやICアンプと比較して、特別なことはありません。インピーダンスマッチングだけに注意を払えば、普通に使えるアンプでした。

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